ニュージーランドの大学・ポリテクニック教育制度を徹底解説!カリキュラムや進学方法についてもご紹介
この記事では、ニュージーランドの教育システムの全体像から、大学・ポリテクニックそれぞれの特徴、カリキュラム、学位、卒業後の進路、さらには具体的な進学方法まで、大学・ポリテクニック留学を検討する上で知っておきたい情報を解説します。
ニュージーランドの教育システム全体像
ニュージーランドの教育は、国全体で教育水準の維持・向上に努めており、個々の能力を伸ばすことを重視した教育方針が特徴です。
ここでは、そんなニュージーランドの教育システムがどのように成り立っているのか、教育の流れや高等教育機関の学期制について詳しく見ていきましょう。
教育の質が高い国として知られている
ニュージーランドは、国際的な教育水準調査で常に上位にランクインしており、「教育の質が高い国」として世界的に認知されています。
例えば、Economist Intelligence Unitが発表する『未来教育指数』では、将来を見据えたスキルを育む教育システムとして高く評価されています。
ニュージーランドの教育制度の全体像についてはこちらの記事でもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
ニュージーランドの教育の流れ
ニュージーランドは一貫した教育が特徴です。
日本の小中学校に相当するのが、
・初等教育(Primary School):Year 1からYear 6
・中等教育初期(Intermediate School):Year 7とYear 8
日本の高校に相当するのが、
・中等教育後半(Secondary School):Year 9からYear 13
です。
Secondary Schoolの後半では、全国共通の資格試験であるNCEA(後述)を受験し、その結果が高等教育機関への進学に大きく影響します。
より詳細な中学・高校の教育制度についてはこちらの記事もご覧ください。
>>ニュージーランドのニュージーランド中学・高校の教育制度についてはこちら
高等教育機関には、主に8つの国立総合大学(University)、そして実践的な職業技術教育を提供するポリテクニック(Polytechnic)などがあります。
この他にも私立の専門学校なども存在し、多様な学びの選択肢が提供されています。
ニュージーランドの大学・ポリテクニックの学期制
ニュージーランドの多くの大学やポリテクニックでは、一般的に2学期制(セメスター制)が採用されています。
1学期(セメスター1)は通常2月下旬または3月上旬に始まり、6月下旬頃に終了します。
その後、約1ヶ月の学期休みを挟んで、2学期(セメスター2)が7月中旬頃に始まり、11月中旬頃に終了するのが一般的です。
年末年始にあたる11月下旬から翌年2月中旬頃までは長い夏季休暇となります。
この夏季休暇期間を利用して、一部の大学ではサマースクールが開講されることもあり、追加で単位を取得したり、特定の科目を集中的に学んだりする機会も提供されています。
入学時期は主に2月(セメスター1開始時)ですが、コースによっては7月(セメスター2開始時)の入学も可能です。
ニュージーランドの大学教育制度
ここでは、それぞれの機関でどのようなことが学べるのか、取得できる学位、そして卒業後の進路について詳しく掘り下げていきます。
国立総合大学(University)
ニュージーランドには8つの大学があり、いずれも国立総合大学です。これらはすべて政府によって設立・運営されています。
これらの大学は、国際的にも高い研究水準と教育の質を誇り、世界大学ランキングでも常に上位に名を連ねています。
また、国際色豊かな学習環境も魅力の一つで、世界中から多くの留学生が集まっています。
各大学がそれぞれ独自の強みや特色を持つ学部・学科を有しており、幅広い分野で質の高い教育を受けることが可能です。
国立総合大学(University)で学べること
ニュージーランドの国立総合大学では、さまざまな学問分野で専門知識を深めることができます。
主な学問分野は下記の通りです。
人文・社会科学系:文学、歴史、経済学など 自然科学・工学系:物理学、ITなど 商学・法学系:ビジネス経営、会計、法律など 医学・健康科学系:医学、看護学、薬学など 教育・芸術系:教育学、美術、音楽など |
多くの大学では、理論と実践をバランス良く組み合わせた学習が可能です。また、複数の分野を学ぶことで学際的な視点も養えます。
学位について
ニュージーランドの大学の学士号は通常3年制です(学部によっては4年)。
国際的に認められた様々なレベルの学術学位を取得することができます。
学士号 (Bachelor's Degree) | 通常3年の課程で、選択した専門分野の基礎知識とスキルを習得。 |
優等学士号 (Bachelor's Honours Degree) | 学士課程で優秀な成績を収めた学生が、さらに1年間専門分野を深く研究する学位。 |
修士号 (Master's Degree) | 通常1~2年の課程で、特定の専門分野における高度な知識を習得。 |
博士号 (Doctoral Degree / PhD) | 通常3~4年の課程で、独自研究を行い博士論文を完成させる、最高位の学位。 |
卒業後の進路
多くの卒業生は、大学で培った専門知識やスキルを活かして、国内外の企業や公的機関に就職します。
また、より専門性を深めたい学生や研究者を目指す学生は、大学院(修士課程や博士課程)へ進学する道を選びます。
ニュージーランド政府は、一定の条件を満たした留学生に対して、卒業後にニュージーランドで働くことができるポストスタディワークビザ(Post Study Work Visa)を発給しており、これにより卒業生は現地での就職活動やキャリア形成の機会を得やすくなっています。
ポリテクニック(Polytechnic)
ポリテクニックは、ニュージーランドにおける実践的な職業教育・訓練を担う高等教育機関です。
近年、ニュージーランド国内の多くのポリテクニックは「New Zealand Institute of Skills and Technology - Te Pūkenga」という一つの大きな組織に統合され、国全体で一貫した質の高い職業教育を提供することを目指しています。
ポリテクニックの最大の特徴は、産業界との強いつながりを持ち、実社会で即戦力となるスキルや知識を習得できる点にあります。
インターンシップや実習(ワークプレイスメント)がカリキュラムに豊富に組み込まれている場合が多く、実践的なスキルを効率的に身につけることができます。
ポリテクニック(Polytechnic)学べること
ニュージーランドのポリテクニックは、それぞれの業界との連携を重視した教育が特徴です。
主な学問分野は下記の通りです。
IT・エンジニアリング系:プログラミング、ウェブ開発など ビジネス・ホスピタリティ系:マーケティング、観光業など クリエイティブ・デザイン系:デザイン、映像制作など ヘルスケア・社会福祉系:看護、介護、幼児教育など 建設・農業・その他専門技術系:建築技術、農業技術など |
学位について
ニュージーランドのポリテクニックでは、職業に直結した資格や学位を取得できます。
サーティフィケート (Certificate) | 比較的短期間(数週間~1年程度)で、特定の分野における基礎的な職業スキルを習得したことを証明。 |
ディプロマ (Diploma) | 通常1~2年の課程で、より専門的な技術や知識を習得。大学の学士課程への編入が可能な場合も。 |
学士号 (Bachelor's Degree) | 通常3年の課程で、大学で授与される学士号と同等の学術レベルと認められる。 |
各種大学院レベル資格 | 大学院相当の高いレベルの資格。 |
卒業後の進路
ポリテクニックの卒業生は、習得した実践的なスキルを活かして、それぞれの専門分野で即戦力として活躍することが期待されます。
就職率は比較的高く、卒業後すぐに専門職としてキャリアをスタートさせる学生が多いのが特徴です。
例えば、IT技術者、エンジニア、シェフ、ホテルスタッフ、デザイナー、看護師など、具体的な職業に就くケースが一般的です。
また、ポリテクニックで取得した資格や学位を基に、さらなるキャリアアップを目指して大学の学士課程や修士課程に編入する道もあります。
ニュージーランドの大学へ進学するには?
ここでは、ニュージーランドの高校に通う生徒が進学する場合と、日本の高校から進学を目指す場合に分けて、それぞれの主な進学ルートを解説します。
ニュージーランドの高校からそのまま進学
UE(大学入学資格)を取得して直接進学
ニュージーランドの高校に3年間程度在学し、NCEA Level 3で大学入学資格(University Entrance、略してUE)の要件を満たせば、書類審査のみで大学の学部課程へ直接進学できます。日本の大学のような一斉入学試験はありません。
ファウンデーションコースを経由して進学
ニュージーランドの高校に2年間程度在学した後、UEの取得が難しい場合や、希望大学の学部が求める英語力・学力基準に満たない場合は、「ファウンデーションコース」(大学進学準備コース)へ進みます。
約1年間、大学での学習に必要なスキルを学び、優秀な成績を修めれば提携大学への入学が保証されることが多いです。
もちろん、高校でUEを取得できれば直接進学も可能です。
日本の高校から進学
【高校卒業者向け】語学学校 → ファウンデーションコース → 大学進学
日本の高校を卒業した方が大学を目指す一般的な進学方法です。
まず語学学校で英語力を向上させ(目標IELTS6.0以上など)、その後約1年間のファウンデーションコースで専門基礎やアカデミックスキルを学び、大学学部課程へ進学します。
【日本の大学生向け】ニュージーランドの大学へ編入
日本の大学に在学中の方が、ニュージーランドの大学の学部課程へ編入する方法です。
日本の大学で取得した単位が認定される可能性があります。高い英語力(IELTS6.0~6.5程度)があれば、日本の大学1年修了後、NZ大学3年で卒業も目指せます。
【日本の大学卒業者・社会人向け】ニュージーランドの大学院へ進学
日本の大学を卒業した方が、キャリアアップや専門性を深めるために大学院(修士課程、博士課程、大学院レベルのディプロマ等)へ進学する道です。一般的にIELTS6.5以上の高い英語力が求められます。
NCEAとは?ニュージーランド独自の成績評価システム
NCEA(National Certificate of Educational Achievement)は、ニュージーランドの高校生が取得する全国共通の主要な学業資格であり、独自の成績評価システムです。
NCEAにはLevel 1、Level 2、Level 3の3つのレベルがあり、生徒は各科目で設定された評価基準をクリアすることで単位を取得していきます。
NCEAのLevel 3の成績は、ニュージーランドの大学への直接入学資格であるUE(University Entrance)の取得に不可欠です。
ニュージーランドの大学入学に必要な書類と手続き
ニュージーランドの大学への入学は、必要書類を大学事務局へ提出し審査を受ける形式が一般的です。
1. 出願書類の提出
以下の書類を準備し、大学事務局に提出します。
高校・大学の卒業証明書(英語) 高校・大学の成績証明書(英語) IELTSなどの英語能力証明書のコピー 英文履歴書(CV) |
2. 条件付き合格通知(Conditional Offer of Place)
書類審査を通過すると、大学から「Conditional Offer of Place(条件付き合格通知)」が届きます。
これは、特定の条件を満たせば正式に入学を許可するという通知です。
3. 正式な合格通知(Unconditional Offer of Place)
Conditional Offer of Placeの条件(通常は学費の支払いや、英語力が不足している場合は規定のIELTSスコア達成など)を満たすと、「Unconditional Offer of Place(正式な合格通知)」が発行されます。
4. 学生ビザ申請
「Unconditional Offer of Place」と「学費の支払い領収証」が揃うと、学生ビザの申請が可能になります。
まとめ 〜ニュージーランドの大学・ポリテクニックへの留学はGina & Partnersにお任せください〜
ニュージーランドの大学・ポリテクニックの教育制度についてご説明しました。
Gina & Partnersでは、ニュージーランド留学を専門とする経験豊富なカウンセラーが、一人ひとりのご希望や状況を丁寧にお伺いし、最適な学校選びから出願手続き、学生ビザ申請、渡航準備、そして現地での生活サポートまで、皆様の留学実現をバックアップいたします。
ニュージーランドでの留学をご検討の方はぜひお問い合わせください。
>>Gina & Partnersの大学・ポリテクニック留学についてはこちら
ニュージーランド大学教育制度に関するよくある質問(FAQ)
ニュージーランドの大学に入学するには、どのくらいの英語力が必要ですか?
ニュージーランドの大学(学部課程)に入学するために一般的に求められる英語力は、IELTS Academicでオーバーオールスコア6.0(各バンド5.5以上)、またはTOEFL® iBTで80点(ライティング20点以上)程度が目安です。
ただし、これはあくまで一般的な基準であり、大学や学部、コースによって求められるスコアは異なります。
ニュージーランドの大学の学費は、年間でおおよそいくらくらいかかりますか?
ニュージーランドの大学の学費は、留学生の場合、選択する大学、学部、コースによって大きく異なります。
一般的に、人文科学系や商学系の学部で年間NZ$28,000~NZ$38,000程度、理工系や工学系の学部では年間NZ$35,000~NZ$45,000程度が目安とされています。
医学部や獣医学部などの専門課程はさらに高額になる傾向があります。
これに加えて、学生サービス料や教材費、生活費が別途必要になりますので、総費用を考慮して資金計画を立てることが重要です。
ニュージーランドの大学で留学生に人気のある学部や専攻分野は何ですか?
ニュージーランドの大学では、観光学・ホスピタリティや、バイオサイエンスなどが留学生に人気のある分野です。
これらの分野は、ニュージーランド国内での就職の機会が見込めることや、研究が盛んなことが人気の理由として挙げられます。
日本の高校を卒業後、ニュージーランドの大学に直接入学することは可能ですか?
日本の高校を卒業後、ニュージーランドの大学の学部課程1年次に直接入学することは、条件を満たせば可能です。
ただし、これらの条件は難易度が高かったり、学校によってもさまざまであったりするため、多くの留学生はまずファウンデーションコース(大学進学準備コース)で約1年間学んでから学部課程に進学するのが一般的です。
ニュージーランドの大学を卒業した後、現地で就職するチャンスはありますか?
はい、ニュージーランドの大学を卒業した後、現地で就職するチャンスは十分にあります。
ニュージーランド政府は、一定の条件を満たした留学生に対して、卒業後に最長3年間(コースや資格レベルによる)の就労が可能なポストスタディワークビザを発給しています。
このビザを利用して、多くの卒業生がニュージーランド国内で就職活動を行い、キャリアをスタートさせています。
大学とポリテクニック、どちらを選ぶべきか迷っています。選び方のポイントを教えてください。
学びたい内容、学習スタイル、キャリアプランによって、大学(学術研究、幅広い教養、大学院進学志向)かポリテクニック(実践的スキル、専門知識、即戦力志向)のどちらを選ぶべきか異なります。
それぞれの特色を理解し、自分に合った選択をしましょう。
Gina & Partnersでは、弊社スタッフが現地で収集した最新情報と、これまでの手配実績をもとに、お客様に合った最適な大学をご紹介します。